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納得できる生き方を見つける7ステップ

 

納得できる生き方を見つける7ステップ

 

「自分がわからない」「本当の自分って何だろう?」

 

そういう悩みは、誰しも1度は抱えたことがあるかもしれませんね。

 

自己肯定感を持ちにくい現代社会では、そのモヤモヤや苦しみを抱えたまま、日常を過ごさざるを得ない人も少なくありません。

 

仕事・恋愛・夢。。。これらを直視するとき、必ず自分ってなんだろう、何を求めているんだろうという壁に阻まれます。

 

しかし、自分のことを100%理解している人は1人もいません。

 

では、誰しもが頭の奥底で抱えている「本当の自分とは何か」という問いを、どう処理して生きていけばいいのでしょうか。

 

ここでは本当の自分を知り、納得のいく生き方を見つけるための方法を7つのステップでお話していきます。

 

1章は、心の病気になっているのでは?という方向けになります。

 

そうではなく、本当の自分に気づき、幸せになっていく具体的な方法を知りたいという方は第2章からご覧ください。

 

 

 

 

 

1. もしかして心の病気かも?

 

「本当の自分がわからない」と悩んでいる方の中には、「自分が心の病気なのではないか」と考えている方もいるかもしれません。

 

しかし、冒頭で誰しもが「本当の自分とは何か」という悩みを持ったことがあるとお伝えしました。

 

「自分がわからない」という想いは、人間が当たり前に持つ疑問です。そして多くの人が日々の忙しさの中でその問いと向き合うことを無意識に避けて、通常の生活を送っています。

 

自分がわからないという悩みが心の病気に直結するわけではありません。しかし、その問いに苦しみ、普通の生活を送るのが難しいという方がいるのも事実です。

 

そういう方は、以下に症状の特徴をまとめましたので、当てはまるものがないか確認してみてください。

 

以下の特徴に3つ以上当てはまるようなら、早めに専門の医師へ相談することをオススメします。

 

≪もしかしてうつ病かも? 症状の特徴一覧≫

 

わけもないのに涙があふれてくることがある
「自分はダメな奴だ」など漠然とイヤな気分になる
何をしていてもやる気が出ない
頭がまわらず、勉強や仕事が手につかない
1日の中で朝の気分が最も悪く、夕方が最もラク
不眠症状がある、もしくは1日中眠い
関節や肩、胃など体のどこかが慢性的に痛い
食欲がいつもより増えたもしくは減った
耳鳴りや難聴など耳の聞こえが悪くなる、めまいがする
自分が死んだほうがみんなのためなのではと思ってしまう
≪もしかして境界性人格障害かも? 症状の特徴一覧≫

 

愛する人や大事な人に見捨てられるのではないかという不安をいつも抱えている
感情のブレーキがきかず、
ちょっとしたことで癇癪を起こしてしまう
周囲の人がついてこられないほど気分や感情が不安定
生きていることがツライ、生きていることに違和感を覚える
強いストレスがかかった時に、一時的に記憶がなくなることがある
自殺のそぶりや自傷行為を繰り返す
薬物、過度のアルコール摂取、万引き、過食など自己を損なう行為に依存する
いずれにも当てはまらないという方は、ぜひこの先の記事も読み進めていってください。「本当の自分」を知り、納得のできる生き方を一緒に探していきましょう。

 

2. 自分の性格を知る

 

では具体的に本当の自分を知り、納得のいく生き方を探すための第一歩を踏み出しましょう。

 

まずは自分自身の性格を知ることからです。ここでは心理学を用いて、性格をひも解いていきたいと思います。

 

2-1. 生まれ持った性格(気質)を知る ? 3パターンの気質

 

性格には、生まれつきの部分である「気質」と、生まれた後の環境によって形成されていく部分の2つがあるとされています。

 

今回はその生まれつきの「気質」を心理学的な視点から探っていきましょう。実は「気質」は体格と関連性があるとされています。

 

それはドイツの精神科医であるクレッチマーが唱えた類型論という説で、「体格」は気質と同じで生まれつきの「体質」によって左右されることが多いという考え方から生まれたものです。

 

研究の結果、クレッチマーは体格に応じて、人間の気質を3つに分類しました。

 

さらにこの類型論をアメリカ人の心理学者であるシェルドンが洗練させ、3つの気質を細かく分類しなおしたのです。

 

詳しく紹介していきますので、自分がどれに当てはまるのかを考えながら、見てみてください。

 

[1]線の細いやせ型(分裂気質)

 

基本的に神経質でまじめ、物静かな人が多く、あまり社交的ではない。感受性豊かで芸術家肌だが、友達は少なめ。自然や本が好きで、お人よしな性格。

 

また、気になることや自分の批判には過敏に反応し、興奮状態に陥りやすい。

 

反面、気にならないことにはとことん無関心で、冷淡や鈍感と表現されることも。自分の世界や孤独を愛するが、時に変な人と言われることもある。

 

[2]ふっくら肥満型(循環気質)

 

基本的に社交的で明るく、親切かつ温厚。ユーモアの精神もあるが、時に感情的。

 

激しく怒ったり、泣いたりすることも。そのためテンションが高い時はいつも以上に活発で、気分が落ち込んでいる時は寡黙で弱気になる。

 

他人に認められたい気持ちが強いが、重荷に感じると関係をすっぱりと断ち切るドライな一面も。また責任感が希薄で、約束を忘れることが多い。

 

[3]筋肉質ながっちり体型(粘着気質)

 

几帳面で粘り強く、融通が利かないタイプ。まわりくどいと周りから言われることも。

 

良くも悪くも単純なのが特徴で、好きなことにはとことん熱中する。思いこんだら一筋。

 

そのため、気に入らないことには闘志をむき出しにすることもある。

 

自分が所属する群れの和を保つため、外敵と戦う傾向が強いため、闘士型と言われることも。異性にモテるが、自己主張が強すぎてトラブルを起こしやすい。

 

以上が3つの気質です。

 

今はやせ型でも、遺伝的には太りやすいのであれば、もしかすると肥満型に分類されるかもしれません。現在の体格にとらわれず、あなたの気質を考えてみてください。

 

2-2. 行動特性としての性格を知る ? ビッグファイブ理論

 

性格的にどんな行動をしがちなのか?というのが行動特性です。

 

そのため、自分を知るうえで欠かせないのが、行動特性としての性格を知ること。とはいえ、どうやって考えていけばいいのでしょうか。

 

実は心理学ではそうした行動特性を体系的に分類しています。

 

現在、心理学において性格における行動特性は、5つの特性因子によって説明できると考えられています。

 

外向性
調和性
神経症的傾向
誠実性
経験への開放性
もともとは海外で生まれた理論ですが、日本の文化に合った5因子モデルも研究者によって示されており、ビッグファイブ理論といわれています。

 

膨大な統計調査によって確立した理論であり、脳科学などの研究が進むにつれ科学的裏付けもされてきている性格診断法です。

 

ビッグファイブ理論の例
この研究では「高い社交性を持つ」ことと「性への強い関心を持つ」ことの相関関係が認められています。

 

つまり高い社交性を持つ人は、異性との交流にも積極的な傾向があるということです。

 

逆に「高い社交性を持つ」ことと「落ち込みやすい」こととの相関関係は認められませんでした。つまり高い社交性を持つ人は、落ち込みやすくないと言えます。

 

このように何百もの項目のうち相関関係のあるものとないものをまとめて作ったのが5因子モデルです。

 

この行動特性である5因子は、生涯を通じてほとんど変わらないことが研究でわかっています。

 

では実際に簡単な性格診断方法をご紹介していきたいと思います。

 

これから12個の質問をしていきますので、

 

極めて当てはまる…5点
やや当てはまる…4点
どちらともいえない…3点
やや当てはまらない…2点
当てはまらない…1点
で点数をつけてください。

 

≪外向性診断≫

 

(1) 知らない人と話すのが苦にならない

 

(2) パーティなど大人数が集まるイベントが好き ≪調和性診断≫

 

(3) 人が幸せかどうか気になる

 

(4) 人を侮辱することがある(陰口も含む)

 

(5) 他人の気持ちを思いやる

 

≪神経症傾向診断≫

 

(6) 気分が落ち込むことがよくある

 

(7) ストレスを感じたり、不安になったりする

 

≪誠実性診断≫

 

(8) 行動を起こす時、かなり前から準備をする

 

(9) 物事の整理ができない ≪経験への開放性診断≫

 

(10) 絵を描いたり、文章を書いたり、音楽を作ったりしている

 

(11) 哲学的な問題をよく考える

 

(12) 難しい言葉や言い回しを使う

 

全問に点数をつけたら、問いの4と9だけ、5点⇒1点、4点⇒2点、3点⇒3点、2点⇒4点、1点⇒5点にしてください。

 

そして項目ごとに合計点を出していきましょう。

 

『外向性』『神経質傾向』『誠実性』 4点以下…低い 5〜8点…普通 9点以上…高い
『調和性』 男性の場合、9点以下…低い 10〜13点…普通 14点以上…高い 女性の場合、11点以下…低い 12点〜14点…普通 15点以上…高い
『開放性』 8点以下…低い 9点〜12点…普通 13点以上…高い
これで各因子のおおよそのレベルがわかったかと思います。あなたはどの因子が高く、どの因子が低かったですか? では、各因子の高い人の特徴をご紹介していきます。自分に当てはまるところを見ていってください。

 

≪外向性の高い人≫

 

高い社交性を持ち、友達を作るのがはやい
セックスと恋愛を楽しむ
野心を持ち、ステータスを手に入れることや社会の注目を集めることに喜びを見出す
スポーツや旅行、新しい経験をすることが好き
以上の特性ゆえ、スポーツ選手や経営者に多い傾向があります。

 

≪調和性の高い人≫

 

人にやさしく、親切で寛大な心を持つ
人の気持ちを考えて行動する
性別や年齢を問わず友達が多い
ボランティア活動が好き
人と意見が対立しても引きさがる
以上の特性ゆえ、カウンセラーやソーシャルワーカーなど人の役に立つ仕事に就く傾向があります。

 

≪神経症傾向の高い人≫

 

思慮深く常識的、社会的ルールを破らない
基本的に思考がネガティブ
用心深く、何事も入念に準備をして挑む
努力家、学業面が優秀
以上の特性ゆえ、堅実的な仕事に就く傾向があります。また神経症傾向と共に開放性が高い人はアーティストになる人が多いです。

 

≪誠実性の高い人≫

 

自制心が強い(ギャンブルなどにはまらない)
集中力が高い
決められたルールから逸れることを嫌い、臨機応変な対応ができない
スケジュールなどを大切にする完璧主義者
以上の特性ゆえ、弁護士といった社会的秩序を守る仕事に就く傾向があります。

 

≪経験への開放性の高い人≫

 

知性的欲求が高く、読書や音楽などを好む傾向
知能が高い
想像力が豊か
社会的規範にしばられない
以上の特性ゆえ、芸術家が多い傾向があります。 いかがだったでしょうか。あなたの行動特性が見えてきたかと思います。こちらは簡易的な診断になりますのでもっと詳しく性格診断がしたいという方はコチラ(http://www.sinritest.com/bigfive.html)をご覧ください。

 

2-3. 価値観としての性格を知る

 

価値観とは「何が大事で何が大事でないかという判断」「物事の優先順位または重みづけの体系」のことです。何を大事にして生きているかということと言い換えてもいいでしょう。

 

そのため、自分の価値観を知るというのは、自分を知る上でとても大切なステップです。今回も心理学の観点から、価値観をひも解いていきましょう。

 

ドイツの哲学者・心理学者であるシュプランガーは、性格を6つの価値観で分類しています。

 

まずはどれに自分が当てはまるのかを考えながら、見ていってください。

 

(1)経済型

 

物事の経済性・功利性を最も重視する。

 

生活の目的は財産の獲得にあると考えており、価値判断や人物評価も資本・購買力で判断します。現実的なドライさを持つ利己主義的な性格です。

 

(2)理論型

 

物事を客観的に見て、論理的な知識体系を探究することを重視する。

 

好き嫌いといった感情ではなく、あくまで冷静な判断をモットーとします。クールで個人主義。自分の研究や興味のある分野に集中して生きるタイプです。

 

(3)審美型

 

繊細で敏感であり、美しいものに最高の価値を置く。

 

感覚で生きるタイプで、繊細かつ敏感な神経の持ち主。こだわりのある生活や人生を求め、自分の感性を満足させられる生き方を望みます。

 

人からの束縛を嫌い、現実社会には関心がありません。精神的に傷つきやすい傾向があります。

 

(4)宗教型

 

神への奉仕、神秘的なことへの興味を重視する。

 

日本人には少ないタイプかもしれませんが、特定の宗教に関心があり、信仰している人のことです。神や仏を心のよりどころとし、華美な生活を戒め、節制した生活を望みます。

 

(5)権力型

 

権力の獲得に価値を見出し、他人を支配することを望みます。

 

権力を行使することが最大の喜び。すべての努力も周囲への優しさも人より優位に立つ材料と考えており、むしろ人を見下しています。

 

大きな場所で権力が持てない場合、家庭や仲間内などの小さなコミュニティの中で権力をふるってしまうのがこのタイプです。

 

(6)社会型

 

他人や社会の役に立つことを重視する。

 

仲間を愛し、一緒に仲良く生きていこうというタイプです。

 

生活している現在の居場所や故郷を大切にし、平和を重んじます。ボランティアに参加することも厭わず、他人と協力して何かを達成することに喜びを感じるのです。

 

優しい反面、人から利用されたり、損な役回りを押し付けられたりすることも。

 

以上がシュプランガーの6つの価値観です。

 

もし自分が何に当てはまるのかわからなかったという方は、ここからさらに価値観を掘り下げていくので、以下の質問に答えてみてください。

 

答えは1つでなくて構いません。むしろ1つの質問にたくさんの答えを書き出してみましょう。

 

「休日をどんなふうに過ごしているか?」
「何をしている時に元気が出るか?」
「生活必需品以外の何に最もお金を使っているか?」
「ほしいスキルは何か?」
「いつも頭の中にあるものは何か?」
「理想の自分、人生の目標とは何か?」
「どんな話題が好きか?」
「どんなことに感動するか?」
答えを書き出してみましたか? その答えの中にたくさん出てくるキーワードはありませんか?

 

たとえば「本」「美術館」「映画」といったキーワードが多い人は、審美型に近く、感覚を大切に生きている人といえるでしょう。

 

いかがでしょうか。少しずつあなたの人生において大切にしていることが見えてくるはずです。

 

3. ライフラインチャートを作ってみる

 

ライフラインチャートとは、簡単にいえば人生を振り返るツールです。最近では企業の研修や就職活動時の自己分析などでよく用いられているもので、自分を知るには非常に役に立つ資料になります。

 

まずは人生に影響を与えた出来事を振り返り、書き出していきましょう。

 

たとえば、

 

学校の入学/卒業
就職/退職/転職
交際/失恋/結婚/出産
転居
海外旅行/留学など
が一般的でしょうか。

 

年代ごとに思い出す必要はありません。思いついたものからどんどん書き出してみてください。記憶が連鎖していき、いろいろな出来事が思い返されるはずです。

 

次に影響を与えた人物や物事についてです。

 

家族
先生
友人
恋人
上司

映画など
誰でも何でも構いません。思いつく限り、書いていきましょう。人物や物事の名前だけでなく、どんな影響があったのかも簡単に書いてみるとベストです。

 

続いては成功体験・失敗体験を書き出してください。これまでに書き出した出来事や人物をきっかけに嬉しかったことや悔しかったこと、悲しかったことを思い出していきましょう。

 

受験、
試合
コンクール
仕事上での活躍・失敗など
何でも構いません。 一通り書き出したら、その成功体験や失敗体験での幸福度を数値化してください。

 

たとえば「初めて任されたビックプロジェクトで成功した…90点、第一志望の大学に落ちた…マイナス80点」といった具合です。

 

感情の浮き沈みをグラフ化したいだけなので、数値はおおよそで構いません。 最後に時間を横軸、幸福度を縦軸にしてグラフを作ってみてください。

 

人に見せるものではないので、手書きでラフに作成してOK。

 

ライフラインチャートの作成が終わったら、かなり自分の人生を振り返ることができているのではないでしょうか。

 

ここからより具体的に「自分」についてひも解いていきましょう。

 

4. 自分が求めているものを知る

 

あなたが欲しているもの、やりたいことは何でしょう?

 

欲望というと本能的であまり良いイメージがないかもしれませんが、自分が心から求めていることを知ることは自分を知ることに非常に近い行為。

 

「ほしいもの」「やりたいこと」を知ることで自分の理想像が明確になり、納得のいく人生を見つけやすくなります。

 

ではまずあなたの求めているものを知るためにも、欲望にはどんな種類があるのかを心理学の観点からお話していきたいと思います。

 

最も有名なのは「マズローの5段階欲求説」(※)でしょう。人間の欲求は5段階に分かれていて、低層の欲求が満たされると、さらに次の階層の欲求を求めるようになるという説です。

 

まず最も低層の欲求は「生理的欲求」。食べたい、寝たいといった本能的な欲求のことです。

 

次の階層は「安全欲求」。健康でいたい、雨風をしのげる安全な家に住みたいといった欲求です。つまりは生理的欲求が継続的に満たされることを望む段階のこと。たとえば「安定した仕事がほしい」と望むのはこの段階でしょう。

 

さらに次が「社会的欲求」。集団に属したいといった欲求です。自分の生活が安定してくると「一緒に頑張る仲間がほしい」と望むようになります。

 

そして「ご飯のため」「安定のため」「仲間のため」といった欲求が満たされると「尊厳欲求」が生まれます。これは他者から認められたい、尊敬されたいといった欲求のこと。たとえば「昇進したい」「上司から褒められたい」と望むのはこの段階です。

 

そして最上層が「自己実現欲求」です。自分の能力を最大限活かした創造的活動がしたいといった欲求といえます。これは自分が掲げた目標をクリアしていくことに喜びを感じる段階で、いわゆる経営者などがこの段階といえるのではないでしょうか。

 

この理論でいうと「人間は5段階のいずれかの欲求を満たすことにモチベーションを感じて生きている」ということ。

 

マズローの5段階欲求説 マズローの5段階欲求説について興味があり、人生に役立てたいという方は『改めて「マズローの欲求5段階説」を知って人生のモチベーションを高めよう』も一緒に確認しましょう。
あなたは今どんな欲求を満たすことを喜びに生きていますか?

 

やりがいのある仕事、仲間と何かを達成すること、周囲からの尊敬…この5段階に当てはめて考えてみると、今あなたが本当に心から求めているものが少し見えてくるかもしれません。

 

見えてきているのであれば、ライフラインチャートの空白にあなたの欲望を書き出してみましょう。

 

※厳密にいえば「欲望」と「欲求」は別物ですが、今回は人間が心から求めていることという意味として敢えて同様に扱わせていただきます。

 

5. 自分のこだわりを知る

 

次のステップは「こだわり」についてです。

 

心が何かにとらわれて自由に考えることができなくなる。気にしなくてもいいようなことを気にする

 

物事に妥協せず、とことん追求する

 

「こだわり」辞書より

 

前者と後者でかなり意味合いが異なります。

 

たとえば「何度も手を洗うことにこだわる」「左足から靴を履くことにこだわる」は前者で、「ブランド品にこだわる」「やりがいのある仕事にこだわる」は後者でしょうか。

 

前者であれ後者であれ、こだわりとは生きていく中で「これだけは譲れない」というモノや行動ですよね。こだわりを知ることは、納得のいく生き方を探すうえでの重要な指針になります。

 

この項目を読んで、ぜひあなたのこだわりを見つけてみてください。

 

5-1. 生い立ちの中で生まれたこだわり

 

「こだわり」は先天的なものではなく、すべて育った家庭環境や経験から生まれます。

 

特に生活と密接している衣食住に関するこだわりは家庭環境が由来のものがほとんど。5歳以下の小さな子供であっても、食べ方などにこだわりがあることが研究結果に表れており、その多くが家庭の影響でした。

 

たとえば「甘い卵焼きしか食べられない」という人がいますが、それは子供のころから食べていた卵焼きが甘かったという理由からでしょう。

 

その他、ファッションセンスに関しても、両親をはじめとする一緒に暮らしていた人の影響を受けやすいと言われています。

 

とはいえ、衣食住に関するこだわりは多くの場合、生き方に影響を及ぼすようなものではありません。

 

人生を左右するパートナー選びや仕事選び、さらには人との付き合い方に関するこだわりに大きく影響すると言われているのが、成功体験や失敗体験です。

 

たとえば、派手な女性で手痛い失恋をした男性は、人生の伴侶に派手な女性は選びません。

 

また、学校で絵を褒められたことがきっかけで画家を目指したり、バイトでお客様からお礼を言われたことがきっかけで接客業を志望したり…そういった成功体験が職業へのこだわりの一因になります。

 

さらに信頼していた友人から裏切られた経験を持つ人は、人づきあいが苦手になり、たとえばパーティや同窓会といった大人数が集まるところへ行くことを固辞するといったこだわりが生まれてしまうのです。

 

つまり、自分のこだわりを知るには成功体験や失敗体験を振り返ることが大切ということ。

 

先ほどライフラインチャートを作る段階で書きだした成功体験と失敗体験から、こだわりが見えてきませんか。「あの時から、こう考えるようになったな」といった体験からの影響が、あなたのこだわりにつながっているはずです。

 

5-2. マイナスの感情から見えてくるこだわり

 

成功体験や失敗体験からこだわりが生まれるとお話しましたが、マイナスの感情からもこだわりは生まれます。

 

たとえば仕事選びという側面から見てみましょう。

 

「体を動かすことが嫌い」という人は、スポーツ関係の仕事はもちろん、配達員や引越作業員、建設作業員といった肉体労働系の仕事は選びません。

 

「こういう仕事はイヤだ」というこだわりが、「嫌い」という感情から生まれるのです。

 

また「人と話すのが苦手」という人が営業や接客を選ばないのも同じ理屈といえます。

 

その他、人づきあいの仕方でいえば、「1人で家にいるのが嫌い」という人は「休みを友人との予定で埋めること」にこだわります。そのため、自ずと友人関係も広くなっているはずです。言わずもがなですが、パートナー選びでは異性のタイプの好き嫌いが大きく影響します。

 

では、あなたの嫌いなもの、苦手なもの、やりたくないと感じることは何でしょうか? そこからこだわりが見えてくるはずです。 ――――― 生い立ちやマイナスの感情から見えてきたあなたのこだわりは何ですか?

 

こちらもライフラインチャートの空白に書き出してみてください。

 

6. 自分らしさを知る

 

「本当の自分」を考える上で、必ずぶち当たるのが「自分らしさとは何か」という壁でしょう。

 

たとえば心理学的にいうと、「困った人を見るといつでも助けてしまう」など、一貫性と持続性をもったその人らしい思考や行動の特徴的傾向の体系、つまり「人格」のことを「その人らしさ」と言うようです。

 

ですが、そうした他人から見た「らしさ」にとらわれてがんじがらめになっている人もいます。それは本当の「その人らしさ」とは言えません。

 

では本当の意味での「自分らしさ」とはどのようなものなのでしょうか。順を追って考えてみましょう。

 

6-1. アイデンティティとは何か

 

ではよく聞く「アイデンティティ」という言葉。

 

実は心理学から生まれた用語で、アメリカの心理学者であり精神分析家でもあるエリクソンが提唱した考え方です。

 

「自我同一性」または「自己同一性」と和訳され、「私を私たらしめ、一貫性・同一性を与えているものは何かということへの意識・自己確信」のことを意味します。

 

もともとは自己に目覚める時期である青年期の発達課題として、エリクソンはアイデンティティを提唱しました。

 

身体と共に心が発達する青年期に「自分はどんな人間で、将来どんなことがしたくて、自分の生きている意味は何か」ということを考えて、自分らしさを獲得することが大切だとする考え方です。

 

ということは、アイデンティティはつまり「自分らしさ」といえるでしょう。

 

6-2. 自分らしさとは何か

 

では「自分らしさ」「自分らしく生きる」とはどういうことでしょうか。

 

中には「自分らしさ」を「個性」「独自性」と考えている人もいるかもしれません。

 

しかし「世界でたったひとつの個性」など万人が持てるものではなく、自分らしさは他人と比べるモノではありません。

 

他人と比べてムリヤリ作った「自分らしさ」を演じるのは、苦しいこと。自分らしく生きることは自然なことであるはずなのに、おかしいですよね。

 

楽しく幸せに生きられてこそ、自分らしい人生のはず。「自分の人生」のことなのですから、すべては「自分」が基準で考えればいいのです。

 

何をしている時が一番幸せか
何をするのが好きか
どんな時が楽しいか、嬉しいか
常に何かを決める時は「他人がどうか」ではなく、自分が「幸せを感じるほう」「楽しいほう」「嬉しいほう」を選べばいい。

 

そうすれば自ずと「自分らしい生き方」になっていきます。

 

7. 他者との関わりの中での自分を知る

 

生まれつきの気質だけで「自分」が形成されるわけでなく、周りの影響があり「自分」が確立されていくものだとお伝えしてきましたが、では一体どういった影響を受けているのでしょうか。

 

ここでは心理学的な観点から見て、家族や友人、恋人が与える影響がどんなものなのかを見ていきましょう。

 

7-1. 家族との関わりが与える影響

 

家族が自我の形成に大きな影響を与えることは、多くの研究で証明されています。

 

たとえば、親の需要的な態度や自立的な尊重が子供の自尊心を高めること、さらに安定した情緒の発達を促すこと、子供の向社会的行動を育てることが明らかにされています。

 

中でも、母親の養育行動が子供の行動や自我形成に多大な影響を与えることも、研究で明らかになってきました。

 

特に自尊心と対人不安については、母親の養育行動が大きく影響しているという研究結果があります。

 

自尊心について

 

母親にしょっちゅう小言を言われた
言われたとおりにしないとひどく叱られた
同じことをしても叱られる時と叱られない時があった
話しかけても、忙しいと言って相手にされないことが多かった など
「拒否・厳格」因子の高い人たちは、自尊心が高くなかったという研究結果があります。

 

一方で「過保護・過度な期待」の因子が高かった人たちは、自尊心が高いという結果でした。

 

過保護や過度の期待といった本来は望ましくないはずの養育行動ですが、子供の要求や発言に重きをおくという一面も含まれるため、自尊感情が高められたと考えられます。

 

対人不安について

 

対人不安は、「拒否・厳格」因子が高く「過保護・過度な期待」因子の低い人たちが、他の型の人たちよりも他人が気になっている傾向が強いという結果が出ました。

 

子供のころに自分のすることを否定される機会が多く、受け入れてもらえなかった結果、他者から自己肯定してもらいたいと考えた時にそれを自己が成し得るのかを不安に感じるという心性を獲得しやすくすると考えられます。

 

また「拒否・厳格」因子および「過保護・過度な期待」因子、両方が高かった人たちは、厳しくする一方で甘やかしもするという両極的養育行動を内包しています。

 

そのため、相手がどのように反応するかを過度に気にする心性を形成しやすいと考えられているのです。

 

この研究から言えることは、家庭で自己の能力や価値を認め「これで良い」と感じることができるかできないかが、自尊心や対人不安に大きく関わっているということ。

 

つまり、自分に自信を持って相手と接することができるかどうかは、家庭の影響が非常に大きいといえるでしょう。

 

7-2. 友人や恋人との関わりが与える影響

 

友人が与える影響について

 

心理学では、友人関係は児童期から青年期にかけて大きく変化していくことが知られています。

 

広く浅く活発に友人との関係構築をしていた児童期から、狭く深く情緒的な関係構築をしていく青年期へと成長していくのです。

 

そして特に青年期の友人関係は自我形成に大きく影響すると言われ、またそれは男女差があります。

 

男子は

 

マジメ
几帳面
常識がある
といった社会性を備えた友人関係を持つことが自我形成に重要であるという結果になりました。

 

一方で女子は社会性に加え

 

よく相談に乗ってくれる
落ち込んだ時に励ましてくれる
喜びや悲しみを共有できる
といった精神的な安らぎ・相互信頼を得られる友人関係、さらに「行動力がある」といった社交性を備えた友人関係を持つことが自我形成に重要であるという結果になっています。

 

またこうした良好な友人関係を構築した結果、有能感や高い自尊心が育まれ、アイデンティティの確立が促進されると考えられています。

 

恋人が与える影響について

 

恋愛関係を構築することが青年の発達に大きな影響を及ぼすことは、これまで度々指摘されてきました。

 

たとえば、恋人がいる人といない人を比較した結果、いる人のほうが自尊心および充実感が高く、抑うつの程度が低いことがわかっています。

 

また、過去3年間に恋愛経験をした人としていない人を比較した結果、経験した人のほうが自己実現の程度が高いという研究結果があります。

 

さらに単なる恋人の有無だけでなく、恋愛関係の親密化が「協調性・誠実性」および「主張性」といった対人関係における見方や捉え方に影響を及ぼすという研究結果もあります。

 

たとえば、恋人と親密関係になることで「本音を率直に語る」ようになったり、「相手に配慮して行動できる」ようになったりといった変化があります。

 

これらのことから、恋愛関係は自己観に加えて、対人関係の見方や捉え方も肯定的に変化させるきっかけになると言えます。

 

家族のみならず、友人や恋人の影響を大きく受けて自我が形成されていきます。

 

先ほど作成したライフラインチャートにも、きっと家族や友人、恋人の名前があるのではないでしょうか。もしないという人は、もう一度振り返ってみてください。

 

好影響・悪影響どちらかはわかりませんが、少なからず影響を受けているはずです。

 

7-3. 親しい人だけに見せる自分を知る

 

ここまで家族や友人、恋人…周囲の影響を受けて、今の自分が形成されているわけですが、誰しも家族の前で見せる顔、友人の前で見せる顔、恋人の前で見せる顔は同じではありません。

 

いろいろな側面すべてをひっくるめて「自分」です。 親しい人にだけ見せる自分は、最も「自分らしい」姿といえます。

 

「こうした顔は家族にしか見せないな」といった一面があれば、ぜひライフラインチャートの空白に書き出してみてください。

 

8.さいごに ? 納得できる生き方を見つける方法とは

 

ここまで「本当の自分」を探っていくための方法を7ステップでご紹介してきました。

 

簡単に振り返ってみましょう。

 

まず第1章では、「本当の自分」を100%知ることはできないという前提をお伝えしました
次に第2章では気質や行動特性、価値観を心理学的な観点から分類し、ひも解いていきました
第3章ではライフラインチャートを作ることでこれまでの人生を振り返り
第4章では欲望の種類を知ることで本当に求めていることをひも解き
第5章では成功体験・失敗体験からこだわりをひも解いていったかと思います
そして第6章では「自分らしさ」とは何かを一緒に考え
第7章では他者から受ける影響を心理学的な観点からご紹介して「親しい人だけに見せる自然な自分」をひも解いていきました
ここまでで「本質的な自分」「理想の自分像」「人生におけるこだわり」「自然な自分像」が少しずつ見えてきたのではないかと思います。

 

そして自分らしい生き方とは、自分を基準に考えるものだともお伝えしてきました。

 

では、納得のできる生き方とは何でしょう。

 

まずは第4章と第6章で考えた「自分が本当にやりたいこと」「一番幸せを感じる、嬉しさを感じる、楽しいと感じること」に立ちかえってみてください。

 

そしてその「やりたいこと」「好きなこと」をやってみましょう。

 

もし今は「やりたいこと」が実現できる環境にないのであれば、どうしたらやれるようになるのかを考え、行動に移してみましょう。

 

「本当に心から求めていること」なら、そのために行動するのは苦にはならないはずです。

 

そして自分の本当に好きなものを集めてください。

 

無難なものや流行のもの、異性受けの良さそうなものではなく、本当に自分の好きなものに囲まれたら、人生はもっと楽しくなります。

 

また、今回の7ステップを通じて、あなたの人生にとって本当に大切な人も見えてきたのではないでしょうか。

 

その本当に大切な人との時間を作ってください。大切な人と向き合うことは人生をより豊かにします。

 

「やりたいこと」「好きなこと」「大切な人」で日々が彩られれば、自分の生き方に納得できるはず。

 

それどころか、毎日がワクワクする人生になるに違いありません。

 

9.メッセージ

 

「本当の自分」を見つけることは容易なことではなく、もちろん他人が出来ることではありません。

 

だからこそ、今回の記事が自分を見つめなおすきっかけになってくれたらと願うばかりです。

 

また、こちらで紹介した7ステップを通じて、自分が納得できる生き方に少しでも近づくことができたなら幸いです。

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