理想の性格に近づく方法
理想の性格に近づく方法
本当はこうしたいのに、性格のせいでなかなかできない
自分がもっとこんな性格だったら、違う人生が待っていたかもしれない
もしかしたら、あなたは今こんな風に思っているのかもしれませんね。
中には、自分の性格が嫌でたまらず、自己嫌悪に悩む日々を過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、「いまさら性格を変えることなんてできないし」と諦めないで。性格は変えられます。
厳密に言えば、変えられる部分と変えにくい部分が存在します。
人間の性格の仕組みを知り、効果的なトレーニングをすれば、理想の性格に一歩ずつ近づくことが十分可能ですし、それは科学的にも証明されています。
自分を好きになれず苦しい人生から少しでも早く脱却し、あなたらしい笑顔を取り戻すために。この記事がお役に立てば嬉しいです。
1. 性格は変えられる
人間の性格は、すべてが先天的に決まっているわけではありません。
生きてきた環境やこれまでの経験などの、外的要因によって確立される部分も多々あります。つまり、冒頭でも述べたように、性格は後天的に変えることが可能。
この事実を知れば、自分の性格に対する諦めや絶望感が少しやわらぐのではないでしょうか。
1-1. 環境や考え方によって性格は変わる
人間はそれぞれ、自分なりの思考と行動のパターンを持っています。
たとえば大勢の人がいるパーティ会場に出向いたとき、「知らない人と知り合うチャンス!」とワクワクしながら積極的に話しかけに行くか、「知らない人ばかりで緊張する…」と隅のほうで一人でドリンクを飲むか。そのときの状況や精神状態によって変動はありますが、自分の思考と行動にはある程度のパターンがあるのではないでしょうか?
性格とは、まさにそのパターンのこと。
パーティ会場の例で言えば、前者は一般的に「社交的」「積極的」、後者は「内気」「人見知り」などと称されると思います。
しかし、そのパターンはすべてが「生まれつき」というわけではありません。
遺伝的に受継ぐ「気質」という部分はありますが、それ以外は、幼少期の体験、集団の中での役割、マスコミなどによる社会的影響といった外的要因から形成されていきます。
さらに最近の研究では、人間の性格は成人期に自然と変化していくことがわかってきました。仕事で昇進したり、結婚したり、人生の転機を迎えることでおのずと性格も変化していくのです(※性格の仕組みについては、2章で詳しくご説明しますね)
あなたの中に、「自分はこういう性格だから」という思い込みはありませんか?
重要なのは、その思い込みを捨てること。環境や考え方の変化によって性格は変わります。環境や考え方を意識的に変えることで性格も変えられるということを、ぜひ覚えておいてください。
1-2. 多くの人が自分の性格に悩んでいる
老若男女600名を対象にしたある性格アンケートによると、約7割の人が「性格を変えたい」と回答したそうです。
変えたい性格で上位を占めたのは「短気」「わがまま」「内気」「優柔不断」など。変えたいと思う動機はほとんどが対人関係で、とりわけ異性関係が多かったようです。
ここでお伝えしたいのは、自分の性格に満足している人は意外と少ないということ。あなたの周りに「あの人の性格はステキだな」「羨ましいな」と感じる人がいたとしても、本人はもしかしたらそうは思っていないかもしれません。
逆に言えば、自分では短所と思っている性格が、他人からしてみれば長所だったり気にならなかったりすることも多いにあり得るのです。とはいえ、「そんなに気にしすぎないで」と言われたところで、悩みが解消されるわけではありませんよね。
次章からは、性格の仕組みと変える方法について、具体的に掘り下げていきたいと思います。
2. そもそも性格とは
先ほど、性格には変えられる部分と変えにくい部分がある、とお伝えしました。外的要因で変化する部分と、遺伝的な部分、この両面で成り立っています。
では、性格の構成要素を具体的に見ていきましょう。
2-1. 生まれてから性格が形成される流れ
▼ 気質
この世にオギャーと生まれた時点で、人には若干の性格の差があります。代表的な例としては、刺激に対して鈍感か敏感かといった感受性、睡眠と覚醒の生体リズム、気分の変動など。この生まれつき遺伝的に受継いでいる性格のことを「気質」と呼びます。
▼ 気性
そこから3歳くらいまでに形成される部分が「気性」。幼少期の親のしつけや体験により、「強気」「勝ち気」「弱気」の3タイプに分かれるとされています。
強気と勝ち気は似ていますが、自分に自信があり他人の言いなりにならないタイプが強気、背伸びして自分をよく見せようとするタイプが勝ち気に当てはまります。
▼ 防衛機制
物心がついてくると、何らかの問題が生じたときに自分の心を守る「心の安全装置」が作動するようになります。
親から虐待を受けた子どもがその記憶をなかったことにしたり、嫌いな人に対する感情を抑制するあまり逆に相手から嫌われていると思い込むなど、自分が傷つくことを避けるための心のメカニズムです。この思考・行動パターンも、性格を形づくる上での要素の一部になります。
▼ 自己像
「自己像」とは、自分がイメージする自分のこと。自分自身に意識を向けてみてください。
「いま○○している」「いま○○と感じている」という感覚
自分と他人が区別された存在であることを感じる感覚
自分を他人のように眺めて評価する感覚
この3つを感じ取れると思います。
赤ちゃんにはこれらの意識がほとんどありません。成長するにつれて「自分はこういう人間なんだ」と意識するようになり、性格が形成されていきます。
▼ 役割性格、社会的性格
家族内での役割(長男らしさなど)、性別ごとの役割(男性らしさ・女性らしさ)、職業的役割(営業らしさ・教師らしさ・経営者らしさなど)といった生きていく上での役割が、いつしか性格として定着することもあります。
また、国・民族・宗教・地域・会社・学校などの社会集団によっても、それぞれ性格が変わってきます。
▼ 価値観
好き or 嫌い
おもしろい or つまらない
気持ちいい or 気持ち悪い
といった価値観も、思考や行動を決定するひとつの要素。
生きていく中で養われてきたさまざまな判断基準も、性格を構成する一部と言っていいでしょう。
2-2. 生まれつき変えにくい性格の部分
性格が形成されていく流れを大まかに説明しました。後天的に形成される部分が多い一方で、遺伝によるところの大きい「気質」は、いわばあなたという人間を支えている基礎。いまから変えることがなかなか難しい部分です。
先ほど述べた感受性・生体リズム・気分の変動に加え、好奇心がある、クヨクヨしやすい、受け身などのタイプも、遺伝的基礎があると言われています。 また、ドイツの精神医学者・クレッチマー博士の類型論によれば、気質は3種類に分類されます。
分裂気質/非社交的、おとなしい、用心深い、真面目
循環気質/社交的、親しみやすい、親切、友情に厚い
粘着気質/几帳面、融通が利かない、約束や規則を守る
もちろん、ここで紹介した性格タイプが必ずしも気質であるとは限りません。
たとえば非社交的な性格に悩んでいるからと言って、「私は分裂気質だから社交的にはなれないんだ!」と悲観する必要はありません。あくまでも、自分の性格のベースを知る上での参考としてお考えください。
2-3. 後天的に変えられる性格の部分
一方、生まれてから形成された性格については、環境や考え方次第で変化する可能性があります。
たとえ幼少期に養われたものであっても、違う環境に身を置いたり、違う考え方をしてみたりすることで、大人になってからも変化が生じてくるのです。 あなたが変えたいと思っている性格が、どの時点で形成されたものなのか振り返ってみましょう。
気質が影響している面もあるとは思いますが、それがすべてではないはず。思い当たる出来事や状況がひとつはあるのではないでしょうか?
ストレスを溜め込みやすい性格だと感じている場合
嫌なことが起きたら無理に忘れようとしたり、不快に感じていないふりをするなど、自分の中のネガティブな感情を抑え込むクセはありませんか?
これは、前項目で述べた「防衛機制」により定着した思考・行動パターンである可能性が大。幼少期にこのパターンを繰り返したことで、ストレスを溜め込みやすい現在の性格ができあがったと考えられます。
他人に素直に甘えられない、いつも自分を後回しにして損をする、といった性格に悩んでいる場合
あなたはもしかしてきょうだいの一番上、つまり長男・長女だったりはしませんか? これは、前項目で述べたところの「役割性格」に該当します。家族内での役割が、おのずと自身の性格として染みついていった例です。
まずは、自分の中のどの性格を変えたいと思っているか、その性格はどのように形成されたものなのかを、あらためて振り返ってみましょう。一定の思考・行動パターンが生まれた背景を知れば、その思考・行動を実行する前に、意識的に別の思考・行動へとシフトさせやすくなるからです。
それが性格を変えるための第一歩です。
2-4. ユングの類型論で自分の性格のタイプを知る
これまでお話ししてきたように、人間の性格は実にさまざまな要素から複雑に成り立っています。そのため、「私の性格は○○」と一言で表すのは難しいですし、一言でくくる必要もありません。
ただ、いくつかのタイプに大まかに分類することはできます。世の中には性格に関する多くの理論がありますが、ここでは「ユング心理学」で有名なスイスの精神医学者・ユング博士の類型論をもとに、8つの性格タイプをご紹介します。
あなたはどのタイプに近いでしょうか? 自分を見つめ直すという意味で、参考にしてみてください。
外向的思考タイプ
客観的公式で物事を判断する
感情表現に乏しく、冷たいと思われやすい
外向的感情タイプ
人と積極的に関わっていく社交家で、世話好き
周囲の考えに流されやすい
外向的感覚タイプ
人生や生活に快楽や刺激を追求する
論理性や合理性をあまり重視しない
外向的直観タイプ
勘やひらめきに優れ、常に新しい可能性を求める
現実に縛られないため、不道徳
冷酷・無遠慮と思われやすい
内向的思考タイプ
自分の心の世界に深く入り込み、独創的な思考をする
人にあまり関心がない
内向的感情タイプ
普段は感情を抑制しているが、実は譲れない考えがある
お高くとまっていると思われやすい
内向的感覚タイプ
独自の感性で物事をとらえ、表現する
自分の世界に満足しており、周囲の理解を得られにくい
内向的直観タイプ
非現実的なひらめきで行動する
痛みや空腹などの現実的な感覚に乏しい
3. 性格を変えるための方法
性格について理解を深めたところで、次はいよいよ「性格を変える方法」についてのお話です。何度もお伝えしているように、環境や考え方をチェンジすることで性格は変えられます。
もちろん一朝一夕で変わるものではありませんが、日々意識するのとしないのとでは大違い。
ご自身に合いそうな方法を選んで、まずは地道に継続してみることをおすすめします。
3-1. いつもと違う言動をしてみる
性格は言動のあとからついてくる、という面があります。
たとえば、わざといい人を装った発言をしてみるとしましょう。たとえそれが本心でなかったとしても、発言後に抱く自分へのイメージはポジティブなものに変わります。
それを意識的に続けることで言動に内面が引っ張られ、徐々に性格が変わっていくという仕組みです。
これは、「言動と性格に一貫性を持たせたい」という人間の傾向を利用した方法。内気な性格を変えたいのであれば、まずは無理にでも大きな声で喋ったり、作り笑いでもいいので笑顔を心がけたり、いろんな人に自分から話しかけたりと、普段とは逆の行動をとってみます。
いつもと違う自分に最初は戸惑いますが、だんだん違和感を感じなくなってくるはず。続けるうちに、いつしか本心からそういった行動をとれるようになります。
ファッション・髪型・メイク・美容整形・ダイエットなどで外見を変えることも、同じ原理で効果的とされています。外見のコンプレックスをなくすことで性格が明るくなる、という一面もあります。
3-2. いつもと違う環境に身を置いてみる
転職・進学・引越しなどは非常にいい機会ですが、そう容易くできるものではありませんよね。
これまで興味のなかった趣味や習い事を始めてみる、普段あまり会わない人を食事に誘ってみる、いつもとは違うルートで通勤してみるなど、日常でできる簡単なことからチャレンジしてみましょう。新しい環境に身を置くことで、新たな感じ方や考え方が身につきやすくなります。
特に、新しいコミュニティの中に加わってみることは効果的。新鮮な価値観に触れられることはもちろん、知らない人たちの中でなら、いつもと違う自分を演じても誰にも気にされません。
3-1でご紹介した「いつもと違う言動をしてみる」という方法も実践しやすいでしょう。
3-3. 自分への禁止令を取り除く
幼少期の体験が一種のトラウマとなり、知らず知らずのうちに自分に禁止令を出している場合があります。
たとえば、幼い頃に親から「お前なんて生まれてこなければよかった」と言われたことで、自分の存在に否定的な感情を持つようになってしまったケースなどです。
このように、幼少期の禁止令によって誤った生き方を選択してしまうことを、専門用語では「幼児決断」と言います。 幼少期にそのような体験をしなかったか、いま一度振り返ってみてください。大切なのは、禁止令の呪縛に「気づく」こと。もし思い当たることがあるなら、その禁止令から自分を解放してあげましょう。
「自分はそう思い込まされていただけ」という事実をしっかり認識し、そうではない本来の自分に目を向けてあげることです。
3-4. ストレスを感じたときの対処法を変える
待ち合わせている人が約束の時間に来ないとき、あなたならどう思いますか?
「時間を間違えて伝えてしまったかな…」
「さては寝坊だな? 時間を守らないなんて最低だ」
「電車が遅れているのかな」
「まぁ、どうしようもないから待つしかないか」…など
人によって抱く感情はさまざまだと思います。 これは、ストレス(約束の時間に来ない)を感じたときに、あなたが無意識に行なっている対処のクセ。
たとえば「時間を間違えて伝えてしまったかな…」と思う方であれば、自分に責任があると思うことでストレスを回避しようとしているのです。しかし、この無意識の反応が自分の本心を抑制してしまい、いつしか対人関係において強いストレスを抱えてしまうことに。
自分のクセを把握し、意識的に違う対処法をとってみることで、固執した考え方から抜け出すことができるかもしれません。
3-5. 役割を徹底的に演じる
普段は苦手に感じていることでも、仕事と割り切れば意外とできたりしませんか?
教師として大勢の人の前で話しているけれど、実は人見知りで恥ずかしがり屋…という方も少なくないと思います。仕事中だけでなく、普段の生活でも役割を徹底的に演じてみることで、徐々に性格が役割行動へ近づいていきます。
3-6. 短所のいい面に着目する
自分では「嫌な性格」と感じていても、周りの人が同じように「嫌だ」と感じているとは限りません。
どんなにネガティブなイメージのある性格も、裏を返せば長所になり得ます。 人見知りで無愛想な自分を、「周りに媚びていなくてカッコいい」と思っている人がいるかもしれません。常に自信が持てない自分を、「あの人はいつも謙虚で素晴らしい」と思っている人がいるかもしれないのです。
短所だと思っている自分の性格を書き出し、ポジティブなワードに書き換えてみましょう。
そして、これまで思い込んできた「自分は○○な性格」という中の○○を、ポジティブなワードに上書きしてしまいましょう。根本的な性格が変わるわけではありませんが、自分の性格を受け入れ、プラス思考に切り替えることで、生き方が前向きに変わっていきます。
そうなれば、自分の性格を少しずつ好きになることができるはずです。
3-7. 長所をさらに伸ばす
自分の性格で好きになれない部分は、誰にでもひとつはあるもの。それなら、いっそ嫌いな部分には目をつぶって、好きな部分をとことん伸ばしてみるのはいかがでしょうか。
自分の中の自信を持てる部分が増えるにつれて、人はおのずと前向きに生きられるようになります。
短所が気にならないくらいにまで長所を伸ばせば、やがてそれがあなたの新たな性格になっていきます。
4. 心理学に基づいたおすすめ訓練法
環境や考え方を変えることで、徐々に性格を変えていく方法をご紹介しました。
前述の方法も心理学に基づいたものですが、この章では、さらに専門的な訓練法をご紹介していきます。セミナーで体系的に学べるものから、ご自身で気軽にチャレンジできるものまでありますので、興味があればぜひ試してみてください。
4-1. アサーティブネス・トレーニング
1960年代のアメリカで人権運動とともに広まったとされるアサーティブネス・トレーニング。
Assertivenessとは「自己表現」「意見表明」という意味で、相手を尊重しながら自分の意志を率直に伝えていくためのコミュニケーションスキルを指します。
プログラム内容はセミナーにより異なりますが、座学やロールプレイングを通じて、具体的なコミュニケーションの方法を身につけていく流れが一般的。「言いたいことをうまく伝えられない」「つい相手に不快感を与える言い方になってしまう」などの悩みを抱えている方におすすめのトレーニングです。
4-2. モデリング法
カナダの心理学者・バンデューラ博士による社会的学習理論に基づいた、認知行動療法のひとつ。自分以外の人の行動やその結果を観察することで、新しい行動様式や反応パターンを身につけていくという方法です。
理想だと思う性格の人が身近にいるなら、その人を観察し、マネしてみましょう。
発言の内容、話し方、立ち振る舞い、リアクション、コミュニケーションのとり方、行動パターン、あるいは外見にいたるまで、意識的にマネしてみるのです。最初は模倣でも、それがだんだん自分自身に定着していきます。
4-3. 自己強化法
アメリカの心理学者・スキナー博士による理論をもとにした、自分で自分を強化していく方法。
目標を掲げ、達成するごとに自分にご褒美を与えることで、自身を成長させていきます。 たとえば、人見知りを改善したいのであれば、「週に1回のペースで異業種交流会に参加する」という目標を立ててみます。
参加できたら、その夜は大好きなお店のスイーツを買って帰る。交流会で50人と名刺交換できたら、ほしかったバッグを買う。…といったように、報酬を用意することで行動を変え、性格を変えていく方法です。
5. まとめ
理想の性格に近づくためのヒントは見つかったでしょうか?
最後にもう一度お伝えさせてください。「私はこういう性格だから仕方ない」と諦める必要はありません。性格はいまからでも変えられます。また、あなたが自分の性格を快く思っていなくても、周りの人が同じように感じているとは限りません。
一見マイナスな印象の性格も、見方を変えれば誇るべき性格になり得るのです。 この記事を読んで、さっそく性格を変えるためのトレーニングを始めるか、自分の性格を受け入れて付き合っていくか、それはどちらでも構いません。
大切なのは、自分の生き方に納得し、自分を好きになってあげること。あなたのこれからの人生が明るいものとなるよう、心から願っています。
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